◆前置き
アオスジアゲハの羽化不全について記載。
起きたことを書き残すことで、生物への知識を深めることを目的とする。
虫が苦手という方はここで読むのをやめてください。
◆羽化不全
11月初旬に保護したアオスジアゲハのサナギの色が黒〜く変わってきて、これは!と思い羽化のたての準備をしたものの、1日経っても変化がない。嫁さんが気になってサナギの様子を見たら、
あ〜、ダメだ。
腹部が空っぽだ…
え〜?ここまで色が変わって羽の色とか透けているのにダメ?そんなことあるの?
変色してから1日以上経過して、本来なら既に羽化しているのに…サナギは乾燥してきて頭に亀裂があるのに。
これはおかしい…
嫁さんが意を決してサナギの外側を剥がしてみると、中からは成虫になったアオスジアゲハが。しかし、腹部はへこんでいて発育が不十分。明らかに羽化不全だ。
やはりダメだったか…
と思ったら、脚が動いた。
え?
触ってみると確かに脚をかすかながらに動かす。すでに死んでいたと思っていたが生きていた。
腹部はまったく機能していないはずなのに、脚を動かす力がまだ残っていたとは…生物の生きる力って本当にスゴイ。
◆数時間の命
サナギから出した後、脚をかすかに動かして時折ストロー状の口を動かしていた。
小さな生物が懸命に生きようとする姿、例えようがない感情が胸に込み上げてきた。
息絶えるまで少しの間、嫁さんが砂糖水を濡らしたティッシュをストロー状の口に持っていったら脚を震わせた。飲むことはできなかったと思うが、何かしら感じることがあったのだろう。そして、少したってから動かなくなった。
5歳の娘は、アオスジアゲハが羽化することを楽しみにして「おうち」を作っていたが、アゲハが死んだことを理解すると、おうちを「ベッド」にして一晩寝かせてあげた。
そして翌日、嫁さんと娘はアオスジアゲハを公園に埋めてサヨナラした。
何と言って良いのか…
小さな昆虫からこのような沢山の事を学ぶことができるとは…想像もしなかった。
生物ってスゴイ。
生きるって素晴らしい。
同時に生きるということは大変なことなんだな…とも。
死んだら細胞が朽ち果て無くなるだけ。
生きるって大切なことだ。